ゴールドでは、大きく動いたあとに価格が戻り、損切りせずに助かったことが何度もありました。
それが、僕にとっては厄介な経験でした。
次に逆行したときも「今回も戻るんじゃないか」と考えてしまう。最初に決めた損切りをずらし、さらに待つ。最後には戻らない相場につかまって、それまで増やしたお金まで失いました。
だから、感情で判断を変えずに取引するEAを作り始めました。
ただ、プログラムに任せるには、何を売買の条件にするかを決める必要があります。これまでダウ理論とフィボナッチ、ローソク足の形を条件にして試してきました。
今回振り返るのは、値動きの「勢い」を使った初期のMomentum EAです。
上がっているときに買い、下がっているときに売る。その方向への動きが続くところを取れたらどうなるのか。残っている記録では、この考え方で1万回以上の取引をしています。
「そろそろ戻る」を待つ間も、相場は動いている
大きく上がったチャートを見ると、そこから買うのは怖く感じます。もう上がりすぎているようにも見えます。
でも、そのまま上がり続けることもあります。
僕が損切りできずに困ったのは、まさにそういう値動きでした。「ここまで来たら戻るだろう」と思っても、さらに進んでいく。自分の予想に合わせて、相場が止まってくれるわけではありません。
そこで調べる対象になるのが、モメンタムです。ここでは、一定期間にどちらへ、どの程度動いているかという、値動きの勢いを指します。
考え方はシンプルです。強く上がっているなら、その上昇がもう少し続く場面を狙う。下落が強ければ、売りでその続きを狙う。
もちろん、大きく動いた直後に反転することもあります。だから「上がっているから買えばいい」と、その場の感覚で判断していては、僕の裁量と同じ問題が残ります。
どの状態を勢いがあると判断するのか。注文したあと、どこで損切りし、どこまで利益を待つのか。先にルールにして、そのまま繰り返した結果を確認する必要があります。
今回は、初期EMAモメンタムの記録を振り返る
保存されている研究には、EMAを使った初期モメンタムの系列があります。
EMAは、最近の価格をより重く反映して平均した移動平均線です。価格の細かな上下をならし、値動きの方向を考える材料として使います。
ただ、今回確認できた資料では、v0.04のテストで実際に使った全入力設定と口座通貨を確定できていません。ここで一般的な設定を補って、「この条件で検証した」と説明することはできません。
この記事で紹介するのは、当時の記録を棚卸しした際に再集計できた、次の結果です。
| 確認できた項目 | 初期EMAモメンタムv0.04 |
|---|---|
| 取引数 | 10,325回 |
| PF | 約0.917 |
| CSVのProfit合計 | −9,984.05(通貨単位未確定) |
PFは、勝った取引の利益合計を、負けた取引の損失合計で割った数字です。
今回の約0.917は、損失の合計を100とすると、利益は約91.7だったということになります。つまり、この取引記録では、利益を積み上げても損失を埋め切れませんでした。
Profit合計の通貨単位が確定していないため、「約1万円負けた」という読み方はできません。
1万回も取引したのに、利益が残らなかった
前回のローソク足パターンは、保存記録で663取引でした。今回は10,325取引です。
取引の機会がほとんどなかった、という結果ではありません。それだけ売買したうえで、合計はマイナスでした。
ここで「だったら、もっとロットを上げれば」と考えても、問題は解決しません。
同じ取引を同じ比率で大きくするだけなら、勝ったときの利益と一緒に、負けたときの損失も大きくなります。まず確かめたいのは、一連の取引で損失を上回る利益が残るかです。
僕は裁量で、一度大きく資金を増やしています。だから、大きく取れた場面にはどうしても目が向きます。勢いに乗って大きく勝った取引があれば、そこだけ見て「こういうところを取ればいい」と思いたくなります。
でも、EAの履歴には、その前後の負けも並びます。
大きく伸びた一回だけでなく、同じルールで入った取引を全部足す。今回の記録では、その合計が赤字でした。
何が悪かったのかまでは、まだ決められない
勢いについていったから負けたのか。注文するのが遅かったのか。損切りや利確が合っていなかったのか。
この集計だけでは、そこまでは分かりません。
EMAモメンタムには複数の版があり、別の時期にはMomentumを扱う研究もしています。名前が似ていても、入口や決済、資金管理が違えば別の検証です。後の成績を、今回の初期版に足すこともできません。
今回確認できたのは、v0.04として残っている取引記録の集計です。
この結果を根拠に、初期版を本番運用へ採用することはできません。 少なくとも、保存されたこの実行は、取引全体で利益が残るという条件を満たしていませんでした。
一方で、モメンタムを使う全ての方法がダメだった、とも判断できません。原因を調べるには、まず当時の実行設定を確定し、その設定での入口と出口を確認する必要があります。
感情をなくすことと、勝てる条件を作ること
EAなら、怖くなったからといって勝手に利確を早めたり、損失を認めたくなくて損切りをずらしたりはしません。設定したルールで取引を続けます。
僕がEA開発に期待したのは、その部分でした。
ただ、そのルールで1万回以上取引した結果が赤字なら、ルールの方も見直さなければいけません。
自分で決めたことを守れなかった問題と、そもそも決めた条件で利益が残るのかという問題。EAを作ると、両方を調べることになります。
今回の初期モメンタムには、採用できるだけの結果は確認できませんでした。それでも、自分の期待に合う取引だけを選ばず、全部を集計した数字は残せました。
次の#007では、複数の戦略を組み合わせるMultiStrategyを扱います。いくつかの条件を一緒に動かしたとき、結果がどう変わったのか。その開発と検証を振り返ります。
本記事の数値は、保存済みの「ZerokaLife 記事化対象の全体棚卸し」で再集計された初期EMAモメンタムv0.04の記録に基づきます。今回、元のバックテストを再実行したものではありません。当時の全入力設定・口座通貨・開始資金が未確定のため、円建て損益、資金増加率、最大ドローダウンは掲載していません。
