前回、自分が裁量で使っていたダウ理論やフィボナッチをEAにしようとして、波の認識に苦戦しました。
チャートを見れば分かるつもりでも、「どこからどこまでを一つの波とするか」を機械に説明するのは難しい。そこが曖昧なままでは、僕とEAが同じ取引をしているのかも分かりません。
今回振り返るのは、ローソク足パターンを条件にした初期EAです。始値、終値、高値、安値から形を決めて、条件がそろったら売買する。その取引を繰り返したとき、利益は残るのかを調べました。
僕がこの研究をしているのは、自分で決めた損切りを守れず、大損したからです。「今回は戻るはず」と途中で判断を変えてしまう。だから、先に条件を決めて、そのとおりに取引した結果を知りたいのです。
「反転しそう」を、同じ条件で繰り返す
ローソク足は、1本で一定時間の値動きを表します。始値と終値の間が太い実体で、その間に付けた高値と安値がヒゲになります。
裁量では、その形を見て買いや売りの強さを考えます。ただ、その場で「反転しそう」と思っただけでは、あとから同じ判断を再現できません。負けたときに、相場が悪かったのか、そもそも自分が決めた形ではなかったのかも曖昧になります。
そこで、形の条件と売買のルールをコードにします。EAなら、次の取引が怖くなっても、設定した条件は変わりません。利益や損失が出たときも、事前に決めた決済に従います。
その結果を見れば、少なくとも、途中で損切りをずらした僕の裁量成績とは別に、決めたルールを続けた結果を確認できます。
663回売買して、勝ったのは239回
初期CandlestickPattern EAのv0.02には、663取引の記録が残っています。再集計した結果は、次のとおりです。
| 確認できた項目 | 結果 |
|---|---|
| 取引数 | 663回 |
| 勝った取引 | 239回 |
| 勝率 | 約36.0% |
| PF(総利益÷総損失) | 約1.12 |
約64%の取引は勝っていません。それでも、このファイルでは利益の合計が損失の合計を上回っています。損失を100とすると、利益は約112だったということです。
勝つ回数が多いかどうかと、最終的に利益が残るかどうかは、分けて見る必要があります。勝率だけ見ていたら、僕はこの結果を低く評価していたかもしれません。
自分の裁量では、損切りを遅らせて助かったことが何度もありました。その取引だけを見れば勝ちです。でも、最後に戻らない相場が来て、それまでの利益まで失いました。
一方、この記録では負けた取引を数多く含んだまま、合計ではプラスになっています。負けをどれだけ避けたかだけで、手法の良し悪しを判断できないことが分かります。
では、このEAは使えるのか
現時点では、本番採用は保留です。
663回の取引で利益が残った点は、検証を続ける材料になります。ただ、初期版には別実行やH1版の結果もあり、当時の全設定と、どのファイルがどの実行に対応するかを完全には確定できていません。
そのため、この結果から月に何円稼げるのか、10万円の口座でどこまで耐えられるのかまでは言えません。最大の資金減少や、年代を分けた損益も、同じ実行条件を確認してから評価する必要があります。
取引数は前回の34回より多いですが、それだけで採用できるわけでもありません。期間を変えても利益が残るか、売買コストが変わるとどうなるか。そこまで確認したいところです。
なお、後に行った「104戦略の比較」や「はらみ足の買い増し検証」は別の研究です。この記事の663取引に、後の研究結果を足して評価することはできません。
負ける取引を、ルールどおり終わらせる
僕は利益が減るのを怖がって早く利確し、損失が増えると今度は切れずに待ってしまいました。EAを作り始めた理由には、その自分の行動を変えたい気持ちがあります。
今回の記録で確認できたのは、勝率が約36%でも、合計では利益が残ったということでした。毎回の損切りは、その場では嫌な結果です。でも、その負けを含めて663回を集計すると、見え方が変わります。
もちろん、これで未来も勝てるとはまだ言えません。今の段階で残しておきたいのは、条件を決めて繰り返した結果、プラスだった記録が一つあること。そして、それを実際に使えるEAと判断するための確認が、まだ残っていることです。
次の#006では、値動きの勢いを使うMomentum EAを扱います。ローソク足の形に続いて、強く動いている相場を狙ったらどうなるかを振り返ります。
本文の数値は初期CandlestickPattern v0.02の残存CSVを再集計したものです。全実行条件と別実行ファイルとの対応が未確定のため、口座資金の増加率や円建て利益は掲載していません。
